飯豊山(いいでさん) 
 
 平成19年8月10日〜12日 
 ☆交通 : 浜松町<夜行バス>米沢<米坂線>小国<バス>飯豊山荘 ★

        飯豊の湯<バス>山都<磐越西線>会津若松<磐越西線>郡山<NL>東京 
 
 ★山道 : 飯豊山荘、石転び沢、梅花皮小屋泊、大日山頂、飯豊山頂、三国小屋泊、川入、飯豊の湯 
  
 
 
 田町で天ぷら食って、浜松町発の夜行バスに乗り込んだ。


 早朝、米沢着。

 天井に扇風機が回る米坂線の車窓からは、米沢の田園風景が広がっている。

 置賜の穀倉地帯を過ぎ、山間を抜けて小国で下車。バスに乗り換え9時に飯豊山荘着。


 積雪の量は平年並みとのこと。山荘でガスボンベをもらい出発。

 森林浴の気持良い散策道がしばらく続き、梅花皮出会から石転び沢へ向かう。

 行くな行くなと言わんばかりの脅し文句の看板が、いくつも立っている。


 石転び沢出会に着いたようだ。

 道が不明瞭で、左岸を行くも行き止まって引き返し、右岸に変更。やっと道らしき跡を見つけた。

 行く手の石転び沢には、暗雲が立ち込め、前後左右誰もいない。オールアローンである。

 雪渓は所々クレパスがあり、いたる所に落石が転がっている。


 黒雲の 石転び沢 一人行く

 黒雲の 谷に響くは 連れの鈴


 吸い込まれるような後方を見ないようにして、急斜面を一歩一歩登る。

 雪渓の中腹には土石流があり、ますます落石が多くなってきた。

 ようやく雪渓を登り切ったところに黒滝がある。付近は崖道になっていて、より慎重に進む。

 急坂の草付を越えるとお花畑。オタカラコウの黄色が、ガスの中でも良く映える。

 
 梅花皮小屋着。水がジャブジャブ豊富な気持の良い小屋だ。

 夕方、ガスが晴れて、大日岳が見えてきた。

 諸般の都合によりデジカメを持参できず、今回は久々のフィルムカメラである。

 フィルムが少ないのに、デジカメの調子で大日を何枚も撮ってしまった。

 晩飯はいつものごとくカレーライス。缶詰の焼き鳥に球磨焼酎「武者返し」で酩酊、熟睡。


 ちょっと寝坊して4時半起床。5時、ガスの中を出発。

 山道一帯は花畑で、いろんな花がうじゃうじゃ咲いている。満開である。

 特に、ビール瓶の底ほどもあるようなでかいマツムシソウ、ハクサンシャジン、ニッコウキスゲ、

 モミジカラマツ、ハクサンフウロ、イブキトラノオ等々ぐっさりで、思わず笑ってしまう。


 ガスの中 阿呆の微笑 花畑


 梅花皮岳に登ると晴れてきた。

 大日岳が貫禄ある姿で聳え、振り向けば北股岳が朝日に輝いている。

 烏帽子岳に来ると飯豊本山も見えてきた。大日と本山の間に大滝雲が流れ行く。

 北方には雲の上に朝日連峰が浮かび、その左奥に大きな三角山が微かに見えている。

 方向から察すると、鳥海山と思われるがどうだろうか。


 山道の雪原の近くは春の花、日当たりの良い尾根や斜面は秋の花、

 季節を凝縮して花が咲いている。

 青空をバックに、コバイケイソウが笑顔で迎えてくれる。


 万歳 コバイケイソウ お出迎え


 それにしても、緑が鮮やかで美しい。

 青空と雪原とのコントラストで、山肌の緑が一段と印象的である。

 よく見ると緑には3段階あって、雪原周りの背の低い茅の類の浅緑、次に笹の緑、

 それから這い松の深緑。茅の類が最も鮮やかである。


 御西小屋に到着。やや離れた水場へ下り、頭から山水を浴びる。

 ここからの大日岳は良い眺めだったが、なんとフィルムが無くなってしまった。残念無念。


 御西小屋に荷を置いて、大日へ向かう。

 そこらじゅうがお花畑で、チングルマ、キンポウゲ、シオガマその他多数。

 イイデリンドウも沢山咲いている。

 コバイケイソウは横一列に並び、相変わらずにこやかで、

 雪渓をバックにするとクリーム色である。


 最後の急坂を登ると大日頂上。朽ちかけた山頂標識がある。

 夏雲がもくもく湧いてきた。小屋に戻り、水を補充して、飯豊本山へ向かう。


 途中、夢のような花畑となった。その名も草月平。月星夜はどんなだろうか。

 本山頂上に到着。小社あり、安全を祈願。

 山頂でしばらく憩う。

 下りにかかり、御秘所の岩稜を気をつけて渡る。


 今も昔 御秘所戸渡り 白装束


 それにしても暑い。汗が滴り落ちる。タオルを日よけとし、何度も調整しながら歩く。

 そのうち種蒔山を越え目的の切合小屋に着いたが、人が多く、水も溜まり水で、

 小屋の感じも気に入らず、三国小屋まで足を伸ばすことにした。


 しかし先には結構なアップダウンがあって、暑さときつさでよろよろしながら、

 ようやく小屋に辿り着いた。

 人が少なく、小屋の感じも良い。足を伸ばして正解だった。ビールは2本千円。

 水場が少し離れて、岩場を下ったところだったが、岩間から滴り落ちる岩清水はとても美味かった。

 飲み物で一番美味いのは、夏山の岩清水ではなかろうか。


 寝床を確保し、飯を炊きながら焼酎を飲んでいると、小屋の親父が上がってきた。

 武者返しを一杯プレゼントすると、下で飲もうとなり、5、6人集まって酒盛りとなった。

 会津の親父と福島人、東京の新婚さんと肥後もっこすで、徐々に皆方言丸出しとなり、

 山の話から、酒やら食い物のお国自慢となった。

 一升パックが空いて2本目にとなり、小屋の親父が後悔し始めた。

 寝床に戻り、いつの間にか熟睡。

 
 翌朝、5時頃、蔵王連峰の左から日の出。吾妻、安達太良、磐梯がくっきり見え、

 会津盆地に霧がかかっている。今日もいい天気である。

 出発していきなりの岩場は剣ヶ峰。二日酔いでもあり、慎重に這いつくばって下る。

 地蔵山を巻いて下る途中に水場があり、秀明水という。

 なんとも最高に美味い。ペットボトルの中身を全て入れ替えた。


 長坂をどんどん下る。これは昔からの古道のためか、侵食でかなりえぐれている。

 きれいなぶなの山道で、途中、上、中、下の十五里の広場があって、

 ちょうど休憩ポイントになっている。

 
 御沢へ下ると、杉4本、栃2本の巨木がある。昔の人の五穀豊穣の祈りだろうか。


 川入を過ぎて、飯豊の湯へ歩いていると、

 アブがまとわりついて、うるさいったらありゃしない。そこに黒いスポーツカー。

 阿吽の呼吸で拾ってくれて、温泉まで乗っけてもらった。ラッキーである。


 飯豊の湯で疲れを癒し、10時50分のバスに乗って山都駅着。

 会津若松で途中下車し、駅の郷土料理店で天ざるを注文。


 磐越西線を郡山へ向かう途中、車窓から雪を抱いた飯豊山が見えていた。


 
 
  
 
 石転び沢出会
 
   雪渓の際にハクサンコザクラ
 
 
 暗雲の石転び沢
 
   石転び沢 左岸
 
 
 石転び沢 正面 石ゴロゴロ
 
   雪渓のどん詰まりに黒滝
 
 
 夕方晴れて、梅花皮小屋から大日が見える。
 
   翌朝、ガスが晴れる北股岳
 
 
 青空にコバイケイソウ
 
   滝雲
 
 
 大日岳
 
   飯豊本峰
 
 
 烏帽子岳振り返る
 
   花畑から大日
 
 
 御西岳近くの雪渓から飯豊山
 
   大日岳 フイルムが無くなった、無念。
 

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