日野川 (ひのがわ)


 鳥取三大河川の一つ。伯耆西部の雨雪を集めて流れる。


 日野川上流域の分水嶺には、三国山が二つある。

 一つは伯耆と備中と備後、もう一つは伯耆と出雲と備後の三国境であり、

 日野川の源頭となるのは後者の三国山である。


 三国山を発した日野川は、日野郡の流れ集め、大山南西斜面の流れを合わせ、

 米子平野を形成して、皆生海岸から美保湾へ注ぐ。


 山陰の河川流域の例に漏れず、古来鉄穴流し(かんなながし)によるたたら製鉄が盛んに行われた。

 そのため山から多量の土砂が流出し、皆生海岸の汀線がどんどん沖へ前進した。

 このことが明治時代、皆生温泉の発見につながる。

 しかし大正期以降、鉄穴流しが衰退すると日野川からの土砂流出が減少し、海岸侵食が始まり、

 温泉旅館や泉源が海中に沈んでいった。

 これを防止するため、全国に先駆けて離岸堤が設置され、

 トンボロ現象により、鋸のような独特な形で、皆生海岸の砂浜が復元された。



 また、日本神話のひのかわは斐伊川とするのが定説であるが、その読みどおり日野川とする説もある。