閉伊川 (へいがわ)


 北上山地が太平洋に落ち込む海岸線は総延長600kmに及び、

 陸奥、陸中、陸前の三国にまたがることから三陸海岸と呼ばれる。


 その沖合は、親潮(寒流)と黒潮(暖流)がぶつかり、

 マグロ・カツオ・サバ・アジ・イワシなどの暖流系の魚と、

 サケ・マス・サンマ・タラなどの寒流系の魚が密集する好漁場となっており、

 「三陸沖」として世界三大漁場の一つに数えられる。


 三陸海岸の南部はリアス式海岸となっている。

 入り組んだ複雑な海岸線と水深の深い入り江が多数みられ、漁業基地となっている。

 宮古、釜石、大船渡、気仙沼、女川、石巻、塩釜、

 三陸沖には、これらの漁港から主に出漁する。

 一方、これらの地名を並べると、誰もが東日本大震災、特に津波の悪夢を思い起こすことだろう。

 平時は天然の良港であるが、日本海溝等の地震による津波の被害地域でもある。


 三陸沖が好漁場となっているのは、海流がぶつかるからだけではなく、

 北上山地から流れ出す川によって、森の養分が海へ運ばれることも寄与しているだろう。


 北上山地から西方への流れは、北上川に集められるが、

 東方への流れは、そのまま何本も太平洋へ流れ出している。

 
 その中から、三陸海岸に河口のある川の代表として閉伊川を選定。

 北上山地の中央部に発し、JR山田線とR106号(閉伊街道)に並走して流れ、

 宮古市から太平洋へ注ぐ。