安房川 (あんぼうがわ)
日本列島はその名の通り島の列なりであり、北海道、本州、四国、九州以外の島からも
川を選びたいところだが、山と違ってある程度の陸地面積がないとなかなか大河は成り立たない。
月に35日雨が降ると言われる屋久島は、鬱蒼とした森の島で、日本で初めて世界遺産に認定された。
九州本土よりも高い宮之浦岳等の高峰が聳え、幾筋もの急流が高山から海へ注ぎ、また多数の滝がある。
モッチョム岳の巨大な花崗岩の岩盤に面する千尋の滝、海に直接落ちるトローキの滝、
落差88mで日本の滝百選に選ばれた大川の滝等々である。
この水蒸気あふれる島から代表的な川を選ぶとすれば、それは安房川だろう。
本土の川に比べると長さも大きさも物足りないが、
海抜2千m近くの宮之浦岳を源として、
屋久島という特異な自然環境を生んだ日本一の降水量を集めて安房から海洋へ注ぐ。
淀川から入り、黒味岳、宮之浦岳、縄文杉、ウィルソン株を経て、
荒川へ下るのが、屋久島に登るいつものルートであり、
安房川は、長い長いトロッコ道の横を流れている。
下山し安房の民宿に泊まり、流れ船で安房川を楽しんだのは、もうずいぶん遠い昔になった。
船に揺られながら、三岳と屋久島の海の幸を楽しんだ。