四万十川 (しまんとがわ)


 最後の清流である。

 近年人気がうなぎ登りで、全国から多くの人々が訪れる。

 日本三大清流の一つにも数えられる。

 しかしながら、水質はトップレベルではなく、むしろ隣の仁淀川の方がきれいらしい。  


 それなのになぜ最後の清流と言われるのか。

 日本の川がコンクリートでどんどん固められていく中、

 四国で最も長い大河であるにもかかわらず、川岸などが自然のままで残されており、

 澄んだ水質と相まってそう言われるのだろう。

 また、ダムに批判的な世論もある中、本流に本格的なダムがないことも影響していると思われる。

 更に、天然ウナギ、アユ、テナガエビや、青海苔や川海苔の産地であり、

 今でも川漁で生計を立てている人が多いことも、清流のイメージに一役買っているのではなかろうか。


 四万十川の特徴的な風景に、沈下橋がある。

 沈下橋というのは、あきらめが良いというか、経済的というか、

 増水時、川に沈下してしまうことを前提として造られた橋のことで、

 流木等が引っかからないように欄干がなく、気をつけないと川に落ちそうである。

 シンプルな構造のため経済的であり、流されたとしても、また架ければよいというわけだ。


 最後の清流を求めて、昨年夏、四万十川を訪れた。

 近いようで意外に遠い高知県へは初見参であり、これで全都道府県を踏むことになった。

 桂浜、高知城などを観光した翌日、天満宮前キャンプ場にテントを張り、

 清流を目の前にして、天然のアユやアマゴのバーベキューを楽しんだ。

 
 不入山(いらずやま)を源頭とし、四国山中を大きく逆S字状に蛇行しながら、

 小さい蛇行を繰り返して、中村から太平洋へ注ぐ。