円山川 (まるやまがわ)


 その名の由来の生野町円山を水源とし、朝来、養父、豊岡といった但馬の中心地域を流れ、

 日本海に注ぐ。別名、朝来川とも言われる。


 豊岡盆地から下流は、勾配が非常に緩やかなことから、

 土砂が堆積して中洲となり、また、洪水が繰り返され湿地となり、

 さらに、海水が遡って汽水域が広がり、絶滅危惧種など希少かつ多様な生物を育んでいる。


 このことから、コウノトリの野生復帰への取組みもあって、

 国際的に重要で、かつ、将来にわたって自然環境の保全が図られる湿地として

 2012年、「円山川下流域及び周辺水田」としてラムサール条約に登録された。



 また流域には、江戸時代の温泉番付で西の関脇に格付けされた、城崎温泉がある。

 ちなみには西の大関は、有馬温泉とされている。(江戸時代に横綱はない。)

 城崎温泉は、1,400年前にコウノトリが傷を癒したことから発見されたと云われ、

 円山川の支流、大谿川沿いに連なる文豪も愛した情緒ある名泉である。


 訪れたのは3月。蟹が美味しい季節にぎりぎり間に合い、刺身、しゃぶしゃぶを堪能した。

 川べりの柳と石畳が風情のある、歓楽色の少ない閑静な温泉だった。



 それから上流の朝来市竹田には、人気上昇中の竹田城がある。

 円山川の川霧によってしばしば霞むことから、天空の城や日本のマチュピチュとも呼ばれる。

 雲海に浮かび上がる累々たる石垣群の幻想的な風景を、一目見ようとたくさんの人々が訪れている。