加古川 (かこがわ)


 丹波を流れる佐治川と篠山川が合流し、加古川となって播磨を流れる。

 播磨五川(加古川、市川、夢前川、揖保川、千種川)の中で最も大きく、播磨を代表する川だ。


 旧氷上郡6町は合併するにあたって、新市名について、公募で最も多かった氷上市を採用せず、

 周辺自治体から見直しを求められる中、そのブランド力から旧国名をとって丹波市とした。


 丹波市氷上町石生(いそう)に、本州で最も低い中央分水界があり、水別れ(みわかれ)と呼ばれている。

 日本列島に降った雨雪を、太平洋側と日本海側に分ける中央分水界は、通常、脊梁山地の尾根筋になることが多く、

 中央分水嶺と呼ばれるが、水別れでは標高たったの95メートル、谷中分水界となっている。

 もし海面が100メートル高くなれば、ここに海峡が出来て、中国地方が本州から切り離されることになる。


 水別れから北へ向かう流れは、由良川となって日本海へ注ぎ、南へ向かう流れは、加古川となって瀬戸内海へ注ぐ。
 

 
 また、水別れを中心として、由良川水系と加古川水系に跨る南北の低地帯は、氷上回廊と呼ばれる。

 太古の昔から、南北の生き物が交流するルートであり、日本海側の多雪地に適応した北方系の生き物と、

 温暖湿潤な気候に適した南方系の生き物が、ここを通り抜けて入り混じってきた。

 例えば地球温暖化になれば、南方系の生き物が、ここを通り抜けて日本海側へ分布を広げることになる。

 さらにこの地域では河川争奪がしばしば行われ、日本海側と太平洋側の淡水魚も入り混じっている。


 加古川の支流となっている篠山川は、元々は武庫川の上流だった。

 武庫川の流れが緩やかなため、土砂が堆積し川が堰き止められ、篠山川は西へ流れ出して加古川水系になった。

 結果、武庫川の上流域を加古川が奪ってしまった。