宮川 (みやがわ)
お伊勢参りは、宮川で禊をしてから神宮へ参拝するのが習わしだった。
伊勢神宮外宮である豊受宮の禊川だったことから豊宮川と呼ばれ、
更に縮まって宮川と呼ばれるようになったと云われる。
源頭は、吉野熊野国立公園の一部で日本百名山の大台ヶ原だ。
日本の平均年間降水量は約1,700ミリで、世界ではその半分程度だが、
大台ヶ原一帯は4,000ミリを超え、屋久島と並んで世界有数の豪雨地帯となっている。
さらに大正時代、1日の降水量がな〜んと1,011ミリ(世界3位)を記録している。
この多量な雨による温潤な環境の下、源流域となる大杉谷には、モスフォレストと呼ばれるコケの多い森や、
数多くの滝、巨大な岩壁が形成され、近畿の秘境とも日本三大渓谷の一つとも言われている。
そしてその大杉谷渓谷を流れる宮川の流れは、目を奪われる水の碧さ、豊かさとのことである。
遅い雪の降る春の日、大台ヶ原山の山頂部を周回したが、あんまり特徴のない山だった。
この山の名山たるゆえんは、この渓谷にあるのかもしれない。
是非、行って確かめねばなるまい。
大台ヶ原の三津河落山(さんずこうちやま)は、甲武信ヶ岳のように三河分水嶺となっている。
西北の斜面に降った雨は、吉野川を経て紀ノ川となり、和歌山市から紀伊水道に流れ出し、
南斜面に降った雨は、北山川を経て熊野川となり、新宮市から熊野灘へ流れ出し、
さらに東斜面に降った雨は、宮川となって伊勢市から伊勢湾へ流れ出す。