久慈川 (くじがわ)


 茨城、福島、栃木の三県境で、茨城最高峰の八溝山を源とする。

 本川はまず福島県域を北流し、棚倉町から反転し水郡線に沿って南流する。

 八溝山地と阿武隈山地の間を流れ、合併しない宣言の矢祭町を過ぎて茨城県大子町に入り、

 常陸大宮辺りで東へ流れを変え、日立市と東海村の境から太平洋へ注ぐ。


 大子町を流れる支流の滝川には、日本三名瀑の袋田の滝がある。

 高さ121m、幅76mで4段になって流れ落ちることから「四度の滝」とも呼ばれ、

 西行もその美しさに魅せられた。


 花紅葉 よこたてにして山姫の 錦織り出す袋田の滝



 冬になると矢祭町から大子町にかけて流氷の一種「シガ」が発生する。

 シガとは川底の水が氷となって浮かび上がり、そのまま川面を流れる現象で、

 久慈川の冬の風物詩となっている。



 名の由来は久慈郡を流れるからだが、その久慈というのは奈良時代の「常陸国風土記」に由来する。

 「古老のいへらく、郡より南近くに小さき丘あり。かたち、鯨鯢に似たり。倭武の天皇、よりて久慈と名づけたまひき」

 クジラに似た丘があったらしい。