信濃川 (しなのがわ)


 でました誰もが知っているロングリバー。

 この日本一長い川は、地方によって呼び名が変わる。

 越後では信濃川であり、もちろん信濃から流れてくるからだ。

 信濃では千曲川であり、源頭は、富士川、荒川と同じ甲武信ヶ岳で、

 八ヶ岳や浅間山からの流れを合わせて、佐久平、上田平を潤す。


 上高地。

 槍ヶ岳から槍沢、穂高岳から涸沢、岳沢を集め、梓川が流れる。

 その流れは、清らかで美しい。

 かっぱ橋から穂高の眺めは、日本の山岳風景の中で最も有名なものだろう。

 岳沢を上る途中、振り返ると、濃い森の中に帝国ホテルの赤い屋根がとても印象的だった。

 いつか泊ろうと思って数十年。夢が叶うのはいつのことか。


 梓川は、松本平に流れ出て、犀川となる。

 犀川は、同じ槍ヶ岳を源頭とし、仁科三湖の流れを合わせる高瀬川など、

 北アルプスから流れてきた数多の川を安曇野で集め、蛇行して善光寺平へ流れ出る。

 そして、上杉謙信と武田信玄が戦いを繰り広げた川中島で千曲川に合流し、ふるさとの川となる。

 うさぎ追いしかの山、小鮒釣しかの川である。


 新潟県に入ると信濃川に名を変え、谷川連峰から流れてきた魚野川を合わせ、日本海に注ぐ。