荒川 (あらかわ : 羽越)


 荒川と言えば、大都会東京の川を誰もが想像するが、荒川は越後にもある。

 置賜から流れてくるので、正しくは羽越の荒川である。

 こちらもその名のとおり暴れ川だが、毎年の検査でトップクラスの水質を誇る清流だ。


 夢に見る憧れの朝日連峰、そして飯豊連峰。

 その山水を集めてくるからには、その流れは美しく清らかに違いない。

 大朝日岳を源として朝日連峰の流れを集め、西置賜を潤す横川を合わせ、

 更に飯豊本山を源として、飯豊連峰の流れを集めた玉川を合わせ、

 米坂線と共に越後に入り、荒川峡を抜け越後平野を横断し日本海に注ぐ。



 浜松町から夜行バスに乗り込み、翌早朝米沢で下車。米坂線に乗り換える。

 置賜の豊かな田園風景を楽しむ。ローカル線の旅もなかなか乙なものだ。

 天井に扇風機が回っている。ちょっとタイムスリップしたかのようなノスタルジアがある。

 小国でバスに乗り換える。玉川沿いの車窓から、豪雪に削られた独特な岩肌があちこち眺められた。

 登山口となる飯豊山荘に到着。

 黒雲が垂れ込める石転び沢雪渓を一人上る。前後左右誰もいない。オールアローンである。

 翌日、梅花皮山荘から大日、飯豊本山を越え、三国小屋まで縦走。夜は大宴会となった。

 夢のような一日だった。



 日本の気候は湿潤で、かつ山や谷など地形が変化に富んでいるためか、

 滝があちこち沢山あり、世界百名瀑に七つも選ばれている。

 世界百名山が富士山一つだけなのと比べると、なかなかスゴいことではないか。

 日本は島国であるとともに山国だが、より特徴的には川国なのかもしれない。

 石転び沢を合わせる梅花皮沢に、世界百名瀑の梅花皮滝があるが、なぜか日本の滝百選には入っていない。

 どういうこっちゃ。