【三日目】


8月8日(土)


翌朝、周辺のザワザワで目が覚める。

時計を見るとまだ3時半ではないか。

また寝る。


こんどは電燈が点いた。

無理矢理起こす気らしい。

まだ4時半だが、目が覚めてしまった。

支度をして外へ出る。


小屋横の岩峰が月を狙っている。


おお、出た。

山の日の出は美しい。

常念の上から出る。

25年前と同じ景色だ。


どうやら今日もいい天気らしい。


モルゲンロートを浴びる山荘を後にする。

さらば。

今度来るのはいつの日か。


携帯が鳴ったと思ったら、

5時の目覚アラームだった。


小屋横の岩峰を次々と上って行く。

山ではみなさん朝が早い。


少し上がると涸沢と北穂の間に

槍の尖峰が見えてきた。 


奥穂と前穂の間に、
富士、甲斐駒、北岳が見える。

間隙にオールスターが揃う。 


更に雲海の向こうに

八ヶ岳が見える。


奥穂の山頂が近くなってきた。


天を突く槍


左奥の岩峰が奥穂山頂 


じゃ〜ん!

ついに出ましたジャンダルム

すぐに行くから待ってろよ。 


明神の山々、奥は青白き水墨画の世界

左奥から富士と南アルプスが見える。 


あれから25年、四半世紀

久しぶりの奥穂山頂 


いざ参らん。

魅惑の稜線、ジャンダルム 


 
馬の背を振り返る。

なかなかスリルのある岩場だ。


馬の背を下りて、眼前の岩山

果たしてどこをどう行くのか。

近寄らなければ分からない。

岩だらけの縦走路


テント行の好青年Aさんと、

山と人生の玄人Bさん、

単独行が3人集まり、

同行することになった。


穂高道中膝栗毛 


御岳、乗鞍、焼岳の3連打 


ジャンが近づいてきた。 


ロバの耳か?

一体全体、どこをどう行くのか?


睨みを利かすジャンダルム  奥に笠ヶ岳


ぼっこりジャンダルム

山頂に人がいる。 


ジャンダルム山頂着

バンザ〜イ 歓声が上がる。

Aさんから煙草をもらう。

十数年ぶりの山頂での一服


360°極上の山岳景観が広がる。


ジャンの山頂から

御岳、乗鞍、焼岳、西穂の4連打 


 
ジャンの山頂から

北方の山々

北穂、槍、立山、他ずらり 



山頂のエンジェル 


  
ジャンの山頂から 青い水墨画


さあ、縦走再開。

ジャンの山頂で更に若者2人が合流

5人の精鋭部隊となった。


山のゴレンジャー、天空の岩稜を行く。

西穂へ向かう。


天狗のヘッド


天狗のコルに到着


避難小屋跡で休憩。

遅い朝食とした。

山荘の弁当は、なんとほう葉寿司だった。

美味しくいただく。

小振りながらヤマメの甘露煮も付いていた。

まさか飲めということか。

球磨焼酎ならあるが、
こんなところで酩酊したら大変だ。

危険な誘惑には用心しなければならない。 

ここから岳沢への避難道がある。


天狗のコルから直登の鎖へ向かうと、
学生の4人パーティが下って来た。

女性部員が苦戦している。

岩に足が届かないみたいで、
「もう死ぬ〜」とか悲鳴が上がり出した。

みんなで下から指示して、
なんとか下って、拍手となった。 

さあ行かん。天空の岩の細道

奥穂を振り返る。


 
天狗の頭辺りから、

吊尾根がカッコイイ

縦走路は全て難所だが、
慌てず3点支持をキープすれば、
特に問題はない。

最も注意すべきは、落石かもしれない。


天狗のヘッド辺りから、間ノ岳

予想外に立派でゴツイ山だ。

岩に巌を重ねる。

Rock and Rock 


逆層スラブを慎重に下るAさん


右側には奥飛騨の名山、

笠ヶ岳が常に聳えている。 


間ノ岳に近づいて来た。

これを上るのか。

ジャンダルム並ではないか。


ベテランのBさんは新ジャンダルム

と名付けたが、私はその形状から

ロケットピークと名付けた。


 
ロケットピークに近づいてきた。

これに上る?


何度も振り返り眺める奥穂

岩の殿堂

畳々たる岩稜 


ロケットピーク山頂から

Aさんが上ってくる。 


ロケットピーク山頂から吊尾根 


更に、奥穂と槍ヶ岳 


ロケットピークでスペシャルショット

間ノ岳から更に赤岩岳など

いくつかピークを越えて行く。

特にP1の上りは注意が必要だ。

すれ違った下りの方は、逡巡していた。


P1山頂から振り返る。

ジャンダルム辺りからガスが上がり、
雲と合体している。

それともあまりの暑さに爆発したか。


ついに西穂到着、縦走完了。

達成感に浸る。

素晴らしい景色と仲間に恵まれ、

最高の縦走だった。


西穂の山頂は、これまでと違って

人出で賑わっている。

油断なく下山する。


西穂を振り返る。 

西穂山荘に到着。


まだ道のりはあるけれど、
我慢ならず生ビールで乾杯した。

Aさんはここでテント泊、
Bさんは急ぎ帰京とのこと。

さらばまた会う日まで。


新穂高へロープウエイで下りる。

もうあまり動きたくなくなり、

近くの奥飛騨温泉郷中尾温泉
「まほろば」に泊ることにした。

新穂高の名湯に浸かり汗を流し、

奥飛騨の料理を地酒で楽しむと、
早々に寝床に着いた。


  
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